コロンビア(Colombia)

一体どこで受けるのが正解?熱帯地域渡航に必要な黄熱病予防接種

※この記事は2016年7月時点の経験を基に書かれたもので、最新の情報と異なる場合が多々あります。「昔はこうだったんだな」と、近代史の勉強のような感じで軽く読み進めてみてください。

 

「黄熱病」と聞いて、みなさんは何を想像しますか?

言葉は知っていても、日本人にはあまり馴染みのない黄熱病。しかし渡航先によっては黄熱病の予防接種が義務付けられている国もあり、まったくの無関心ではいられません。

今回はその黄熱病予防接種に関する投稿です。

黄熱病とは?

猿や人間を宿主とし、蚊を媒体として発症する疾患です。急激な発熱や頭痛を発症し、嘔吐などの症状が出ることもあります。重症の場合には致死率20〜50%にも達する病気で、現在でも赤道付近のアフリカ諸国や南米諸国などで発生しています。

日本人の認識として、「野口英世」の名前が出てくる人も多いかもしれません。黄熱病研究の第一人者で、その黄熱病によってこの世を去った偉人ですから。

特異的な治療法がなく、発症後は対処療法に頼るしかないのが現状です。なので、発症させないための予防接種が最も効果的です。

黄熱病予防接種

黄熱病罹患者がほとんどいない日本で、黄熱病予防接種が受けられる場所はあるのでしょうか?受けられる場所はもちろんあります!以下の厚生労働省検疫所のホームページをご覧ください。

黄熱に注意しましょう!

国内空港の検疫所、もしくは一部の医療機関で接種できます。完全予約制の場合がほとんどなので、必ず事前予約をしてください。ちなみに成田空港検疫所での予防接種費は16,800円、接種証明書は別途880円かかるようです(2024年4月時点)。

予防接種の注意点

効果は接種から10日経過後に表れるので、海外渡航前には有効にしておく必要があります。副作用が発生する場合もありますので、その意味でも渡航前に接種することを強く推奨します。

黄熱病予防接種不要からの急展開

管理人がコロンビアに渡航する前、黄熱病予防接種のことなど頭にありませんでした。というのも友人(以下Aさん)が住んでいるのは首都ボゴタなので、黄熱病感染リスクのない場所です。しかし渡航まで数日に迫ったある日、急にAさんから連絡が来ました。

「黄熱病の予防接種受けといてね。僕は今週末に受けるつもり。熱帯地域に行くつもりだからさ」

まさかこのタイミングとは…。管理人は予防接種が時間的に不可能だということを話しました。受けずに行くつもりだと返信すると、Aさんはこう続けました。

「それはまずいな。予定している旅行先のサンタマルタは、黄熱病感染リスクの高い場所だ。受けないのは危険すぎる」

地元民がそう言うのであれば間違いはないでしょう。まずいことになりましたが、この状況を覆す起死回生の策があります。

コロンビア入国後に接種する

管理人のコロンビア滞在期間は3週間です。「入国前が無理なら、入国後に接種すればいいのでは?」と思ったのです。ガイドブックにも、「長く滞在するつもりなら、入国後に接種するのも手」と書いてあります。それをAさんに話すと、こう返ってきました。

「確かに空港内で予防接種が受けられる。その方が現実的だな。よし、それでいこう!」

飛行機の中で副作用が出るより、入国後副作用が出る方がまだましだと考えました。10日経たないと予防接種の効果は出ないようですが、接種しないよりははるかにましでしょう。4年前にイグアスの滝に行ったときも黄熱病は発症しなかったのです(知りませんでしたが、このエリアも黄熱病感染リスク地域でした)。自分の抵抗力を信じることにします。

目指せ世界三大瀑布のひとつ、イグアス!(プエルト・イグアス編)

エル・ドラド国際空港で黄熱病予防接種

2日間のフライトを終え、エル・ドラド国際空港(Aeropuerto Internacional El Dorado)の中で何時間も待ちました。

エルドラド国際空港

仕事を終えたAさんが空港に来てくれました。4年半ぶりの再会を喜び合い、まず向かうのは空港内にある検疫所です。

Aさんと共に中に入ると、問診表を渡されました。この問診表はスペイン語でしか書かれていません。Aさんに問診表の記入をお願いし、パスポートと一緒に職員に渡します。

別室に案内され、予防接種をしました。痛みもほとんどありませんでした。接種完了後、職員から忠告を受けます。

「効果が出るのは10日後からだからね。副作用もあるかもしれない。熱帯地域に行く場合は、蚊に刺されないよう長袖を着て皮膚を露出しないこと。黒い色の服も避けること」

現時点の予定では、わずか2~3日後には熱帯地域に行く予定なんですが…。

まさかのタダ!?

パスポートとイエローカード(黄熱病予防接種証明書)を渡され、検疫所を出ます。ここである疑問が浮かびます。そう、「予防接種費用はいくらだったのか?」ということです。Aさんに訊くと、まさかの答えが返ってきました。

「もちろんタダだよ」

驚きました。当時(2016年)の日本では黄熱病予防接種に12,000円はかかると書いてありました。そのためこの検疫所での出費も当然覚悟していましたが、まさかタダとは思いませんでした。しかし考えてみれば、黄熱病感染リスクのある国なら当然の対処なのです。観光客といえど、病気の感染源になってしまうのは国益を損なう愚行なのですから。

コロンビアで受けて本当によかったと思いました。予防接種費用に証明書発行費用、さらに日本で受けた場合にはそこまでの交通費もかさんでいたことでしょうから。

イエローカード

予防接種の副作用…?

予防接種当日と翌日は体調に問題はありませんでしたが、2日後にかなりきつい体調になりました。朝目覚めたときから頭が痛く、無理して外出した際には吐き気が治まらないほどの厳しい状況でした。

これが黄熱病予防接種の副作用なのでしょうか?接種2日後のことなので、副作用が表れていてもおかしくはありません。ですが管理人には予防接種の副作用以外にも、この体調不良の要因が思い当たるのです。それは時差ぼけと高山病です。

思い当たる体調不良の原因

コロンビアと日本の時差は14時間あるので、体内リズムは大いに狂っています。この日の朝も4時に目覚めてから再び眠ることはできませんでした。

さらに、ボゴタは標高2600mの高山地帯にある街です。2500mくらいの標高から高山病は発生しやすくなると言われているため、普通に生活していてもそのリスクは潜在しています。到着当日やその翌日はおそらく、多少の緊張状態で気が張っていたのでしょう。少し慣れてきて気が緩んだところに襲い掛かってきたとしても、何の不思議もありません。以前アルゼンチンで標高4170mまで一気に上ったときには何の体調不良も起こらなかったため、管理人は高山病にはならない体質なのだと思っていました。

神秘的な自然に心奪われる!アルゼンチン北西部(フフイ編その1)

しかしこの体調不良を考えれば、高山病の症状がばっちり出ているとも言えます。

胃腸薬で回復…?

Aさんと入ったレストランでは、空腹ではありましたが酷い吐き気の為ほとんど食べられず、Aさんに胃腸薬を頼んでもらいました。その胃腸薬の効果が表れてきたのか、しばらくすると体調は回復しました。その後はなんとか観光を終えることができました。

結局この体調不良が何を起因としたものだったのかは今でもわかりません。思い当たる原因の1つが強く作用したのか、すべてが組み合わさってしまったのか、もしくは単なる消化不良という別の原因によるものだったのかもしれません。いずれにせよ、この日の体調不良は人生の中でもかなり酷いものでした。

まとめ

管理人のように、黄熱病の予防接種は渡航先に入国してから受けるという荒業もあります。しかし入国時にイエローカードの提示が絶対条件の国もあるので、この方法が使えない場合もあります。また、管理人のように副作用(?)が起きて苦しむ可能性がないともいえません。

やはり確実なのは日本で費用を支払い、渡航前に余裕をもって予防接種を受けることです。副作用も日本にいるうちに克服しておけば、渡航先では苦しむことなく過ごせます。

なお黄熱病の予防接種効果は、管理人が接種した数日後より「接種後10年間有効」から「生涯有効」に変わりました。つまり、ギリギリに受ける必要はまったくなくなったのです。管理人のように「接種後10年間有効」時に受けた人も「生涯有効」として認められることになったので、余裕があれば若いうちに黄熱病予防接種を受けておくことをお勧めします。日本の気候が熱帯のように変化している昨今、日本が黄熱病流行地域の仲間入りをしてしまうかもしれませんので。

赤道付近の国を旅行する予定の方は、早めに受けておきましょう。

 

それではまた!

 

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