突然ですが、あなたは減量したことがありますか?「まったくしたことがない」という方はかなりの少数派だと思っています。
個人的な意見になりますが、日本人は総じて「減量」が好きな民族だと思っています。見た目は全然太っていないにもかかわらず、「減量しなきゃ」と言っているのは日本人だけだからです。
日本人の「減量」好きは「あしたのジョー」の影響では?
日本人がここまで「減量」が好きなのは、昭和を代表する漫画である「あしたのジョー」が潜在意識に刷り込まれているのではないでしょうか?詳細を知らなくても知らず知らずのうちに影響を受けていると思われますので、考察した次第です。
(※この記事では「ダイエット」という言葉は使いません。「ダイエット」とは本来「健康な食生活をする」という意味なので、健康的な食事療法もせずにとにかく体重を減らす行為とは似て非なる行為だと思っています。単なる「減量」を「ダイエット」とは呼びたくない、私の意固地な感情満載でお送りしていきます。)
「あしたのジョー」には残酷な減量の描写が出てくる
ボクシング漫画の金字塔として名高い「あしたのジョー」には、主人公「矢吹丈」の宿命のライバルである「力石徹」という登場人物が出てきます。60代以上の日本人男性に訊けば、知らぬ者はいないと言われるほどの有名人です。
詳細は省きますが、主人公の矢吹丈と同じ階級で戦うため、力石徹は到底不可能と思える減量を行います。この、文字通り「命をかけた減量」が作中屈指の名場面なのです。
力石徹は実際にどれくらいの減量をしたのか?
正確な数字は作中で言及されていませんが、矢吹丈と並んだ描写からの推測で「力石徹の身長は最低でも180cmはある」という説を疑う人はいないと思います。
この力石徹は、矢吹丈がいる「バンタム級」という階級まで減量することを決意します。この「バンタム級」の上限は118ポンド、53.52kgです。
みなさんの現実で考えてみてください。「身長180cmはある男性で、体重が53kgしかない人」を見たことがありますか?
「そのような人を実際に見たことがある」という方にさらに伺います。その人には「3分8ラウンドを戦い抜けるようなパワーやスタミナが備わっている」ように見えますか?
力石徹の減量は、筋肉を100%残した減量
「脂肪よりも筋肉の方が重い」
人間は同じ体重でも、脂肪が多い人と筋肉が多い人では見た目も身体能力もまったく違います。ボクサーというのは全身が鋼のような筋肉の状態で、そこからさらに体重を削ぎ落としていくのです。脂肪だらけの体であれば、減量はそれほど苦ではありません。
しかもその極限状態で、実力を発揮できる状態にしていなければならないのです。「どんな手を使ってでも、計量時だけどうにかパスできればいい」というわけでないのです。減量しきった状態でもほぼ万全に動ける状態にしておかなければ、試合で勝てるわけがないのです。
力石徹は計量をパスした後も、ほぼそのままの体重で試合に臨んでいます。
力石徹の減量方法
余分な脂肪をすべて削ぎ落とした状態で行う減量方法とは、一体どんなものなのでしょうか?力石徹が実際に行っていた方法を記載します。
1.ストーブをカンカンに焚き、水の入ったやかんを置きます。密閉性のある部屋を高温多湿にします。
2.サウナスーツを着た状態で、1ラウンド3分のシャドーボクシングを実試合以上のラウンド数こなします。実試合では8ラウンド行うので、それ以上です。
3.とにかく、身体中の水分を汗として体外に排出します。
4.食事はリンゴまたはトマト1個のみ(1日の具体的な摂取量は不明)。
5.水は一滴も飲んではいけません。(自身を外から施錠できる部屋に閉じ込め、水を飲まないようにひたすら我慢。耐えきれなくて逃げ出したときには、水道が針金で固定されて飲めないようにされていました)。
6.これをずっと続け、規定体重まで落とします。
現代のボクサーでも最後は「水抜き」で減量している
「この減量方法は漫画的表現だろ?」と思う方もいるかもしれませんが、現実でもこれと似たようなことは行われています。通常の減量はきちんとした食事制限で行っていますが、それでも足りなければ「水抜き」をするしかないのです。すでに限界まで絞って乾ききった体から、体内の水分を出し切るしかないのです。計量をパスしたボクサーが口を揃えて言うのは、「減量が一番きつかった」です。試合で殴られることよりも、減量の方がはるかにきついのです。
「あしたのジョー」が描かれてから50年以上経った今でも、結局最後には「水抜き」するしかないのです。現実の世界で見ると、過酷な減量で命を落としたボクサーも何人か存在しています。しかし「この減量方法が危険だとわかっていても、計量をパスするためにはやるしかない」とも言えます。
試合後に力石徹は死ぬが、減量が直接の原因ではない
矢吹丈との試合は最終の第8ラウンドまでもつれ込み、試合終了ギリギリで力石徹がKOで勝利します。ただその試合の直後、力石徹は死亡してしまいます。
当然この「常軌を逸した減量のせいで命を落とした」と思われがちですが、実はそうではありません。死因は「第6ラウンドで矢吹丈が放ったテンプル(側頭部)への一撃と、そのダウンの際に後頭部をロープに強打したことによる頭部へのダメージ」と診断されました。つまり、頭を強打したせいで死亡したのです。
実はこの矢吹との試合は減量後初試合ではなく、力石のバンタム級の試合としては2試合目だったのです。減量直後の初試合では「力石の顔は土気色で、死人のような状態だった」と関係者は言っています。ですがしばらくこのバンタム級上限の体重で過ごしたことにより、力石徹の体はその極限状態に慣れてきていたのです。事実矢吹丈との試合開始時点では顔色に生気が戻っており、減量前と変わらぬパンチ力を披露していた描写があります。
このことからも、過酷な減量は死因とは関係ないと言えます。
人間は思っている以上に減量しても死なない
「所詮これは漫画の話だろ?」で片付けてしまうのは早計です。
一般常識からしてみれば考えられないような低体重でも、ヨガを極めた人などは問題なく生きています。ここからわかる事実として、我々が思っている以上に減量しても死なないということです。
「水抜き」をする前の段階で止めておけば、危険なことはありません。
全員が力石レベルで減量できるわけではない
減量できるかどうかは骨格に強く影響するので、どうしても力石レベルの減量は無理という人もいると思います。
私が個人的に思う力石レベルで減量が可能な人間は、「ジムで100%鍛えた時に、ゴリマッチョにはなれず細マッチョになる人」だと思っています。
減量には間違いなく適性があると思うので、ここからは力石レベルの減量適性がある人間に絞って考えていきます。
私の場合
私は上記の条件に当てはめれば間違いなく「細マッチョ」タイプなので、力石レベルの減量は可能だと思います。というのも人生で、自然にかなりの減量状態に陥ったことが何度かあるからです。先に言っておきますが病気によるものではなく、体力もどちらかと言えば万全な状態でした。
私の身長は170cmで、激減する前の体重は53kgくらいでした。20歳で一人暮らしをした際、極限まで生活費を削るライフスタイルにしたところ自然に46kg台まで減量していました。通勤費の節約のために毎日10kmくらい歩いていた結果です。栄養状態は最悪と言っても仕方ない状況かもしれませんが、体力は同期の中でもかなりあった方だと思います。力石徹のように3分8ラウンド戦うのは無理でも、減量による体力低下はなかったと断言できます。
時を経て30代半ばになり、海外に長期滞在をする生活スタイルをすることも多くなりました。その際も生活費を削るライフスタイルにしたところ、46kg台まで減量していたときもありました。しかし栄養状態には気を配っていたため健康状態に影響はなく、毎日5kmくらいは問題なく歩ける体力がありました。体重計が正確だったかも怪しいですが、一度45kg台になったときもあります。しかし水はまったく制限しておらず、むしろ通常よりも多く水を摂取していた状況でした。20歳のときよりも、健康的に減量できていたと思います。
まだ余裕はあるような感じだったので、もっと頑張れば「水抜き」せずとも45kgまでは悪影響なしで減量できたと思います。ボクサーで言えば100ポンド、一番下の階級であるミニマム級を余裕でパスできる体重です。
身長別の限界値考察
170cmの私が減量できる限界値が45kgだとして、他の身長の場合の限界値を考察してみます。
165cm:42kg
160cm:39kg
155cm:37kg
150cm:35kg
だいたいこんな感じでしょうか?水抜きをせずとも、ここまではいけると思います。
筋肉量が少なければこれ以下に抑えることも充分可能だと思います。
一度限界まで減量しないと諦めがつかない
「減量はしているが、どうしても途中で諦めてしまう」という方も多いでしょう。そう言う人にこそ、上記の限界値まで一度試すことをお勧めします。
限界値まで試さないと「あのとき頑張れば、ここまでできたんじゃないか?」という後悔をずっと持ち続けてしまうことになります。結果充分すぎるほど減量できたのに、満足できず何度も何度も減量と増量を繰り返すという悪循環に陥ってしまうのです。
一度限界値を試せば、「ここまで行くと命の危険を感じた」という自分なりの限界を知ることができるのです。自分の限界がわかれば適正値もわかるでしょうし、二度と無茶な減量をしようとは思わないはずです。
だから「減量に何度も失敗して自分に嫌気が差している」という方は、この限界値を試せばいいのです。人間はある程度の状況まで自分を追い込まないと、本当の実力がわからないのですから。
力石徹は減量に対して後悔していない
結果死亡してしまいましたが、命を削って減量し、宿命のライバルである矢吹丈と戦えたことで力石徹は満足しました。おそらくこの未来がわかっていたとしても、きっと力石徹は残酷な減量をして矢吹丈と戦うことを選んだことでしょう。
だからこそ、「あしたのジョー」を読んだことがあるという日本人には「減量は美徳」という価値観が根付いているのです。
この価値観が知らず知らずのうちに伝わっている
「あしたのジョー」を読んだ世代が親になり、子供が減量に悩んだ際には、おそらく力石徹のことを話しているのだと思います。この経緯を聞けば、結果はどうあれ「減量して正解だった」と刷り込まれるに違いありません。
「身体測定の前日から食事を抜いて、少しでも計量時の体重を減らす」ということをしたことのある人は少なくないのでしょうか?これは絶対、力石徹の影響です。
結論
人間は自分が思う以上に減量しても問題ありません。なぜならあなたは過酷な減量直後に3分8ラウンドの試合はしませんし、テンプルへの一撃ももらうことはないのですから。ロープに後頭部を打ち付けないことだけ注意して減量してください。「水抜き」をする前段階で止めておけば、死ぬことはないのです。
何度も減量に失敗しているという方は、力石徹のような減量を試してみるのも手です。自分の限界がわかれば、それだけでもとても価値のある行動をしたことになるのですから。
この記事を読んでもなお減量したいと思い続けているならば、「あしたのジョー」の力石徹のように残酷な減量をしてみてくだい。もちろん自己責任で…。
それではまた!
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