オリンピックなどの国際試合では、本来の実力が発揮できないまま終わってしまう選手も少なくありません。好きでそうなってしまったわけではありませんが、「出場するだけで終わってしまっている」と言われても仕方のない状況が多いのも否めません。
いつも思うのですが、このような失敗の経験は次に活かされているのでしょうか?なぜ実力が発揮できなかったのかしっかり統計を取り、データを蓄積して科学的に検証している人は誰もいないのでしょうか?
「どんな失敗も、新たな一歩となるからだ」とエジソンは言っています。失敗を検証していけば、成功につながる対応策も導き出せるはずです。
敗退データは何よりも貴重な情報
これまでにオリンピックを含む国際試合に出たことのある選手は、それこそ何千人・何万人といるはずです。ですが、いい結果を出せた人にもそうでなかった人にも必ず要因があります。その要因を統計している人はいなのでしょうか?
試合直後のインタビューでは時間も限られていて、選手も冷静な分析はできないでしょう。後日落ち着いた後、何がよかったのか、何が悪かったのかを考察する必要があると思います。
結果には、必ず何らかの要因がある
いい結果を出せた人には成功した要因、そうでなかった人には失敗の要因が必ずあります。苦い経験をした人にその当時のことを訪ねるのは心苦しいでしょうが、後進の選手のためと思って、そこはしっかり考察してもらいたいと思います。
実力が出せなかった時の要因例
私が思う、不調に影響したであろう要因を挙げていきます。
①長時間移動による疲労蓄積
長時間移動による疲労は自身が思う以上に、開催場所が日本から遠く離れているほど溜まっていきます。
今回のパリオリンピックでは、直行便の「成田⇒パリ」フライトでも14時間以上はかかります。飛行機だけでもこれだけの時間がかかっていれば、たとえ機内で座っているだけでも疲労が蓄積しないわけがありません。
②時差ぼけ
日本を基準とした場合、ヨーロッパ圏内では7〜9時間、アメリカ本土では14〜17時間も時差があります。これだけ時差があれば、時差ぼけを解消するだけでも容易じゃありません。
時差ぼけは、思っている以上に辛い症状です。本来眠っている時間が競技時刻に当たってしまう場合の調整は容易ではありません。もし試合1〜2日前に現地入りするという過密日程であれば、時差ぼけ解消などできるはずもなく、失敗は目に見えています。
③気候条件(暑い寒いなど)
暑さ寒さの耐性度合は、個人によって大きな差があります。特に記録を狙う陸上競技では、気温が記録に直結すると言っても過言ではありません。競技当日に暑かったり寒かったりすれば、不調の第一要因になります。
その地域の気候条件に対応できる能力は絶対に必要とされます。
④水や食事が合わない
食事管理もトレーニングの一環となっている現代では、「食事が合わない」という原因はほとんど当てはまらないはずだと思います(そうであると信じたいです)。ですが、水が合わないのは体調に直に影響します。
水道水が硬水である地域では、野菜や食器を洗った際に付着した水ですら大きな影響を及ぼします。私はアスリートではないですが、ドイツの水道水(硬水)をコップ1杯飲んだだけで1日以上にも及ぶ下痢に苦しみました。自身が思う以上に気を付けなければならないのが、現地の水事情なのです。
⑤精神的なダメージ(人種差別や不可解な判定など)
人によって精神的ダメージを受ける許容値はそれぞれでしょうが、肉体面でのダメージ以上のものになることも少なくなりません。
開催地域によってはアジア人差別も酷く、試合本番までの調整時に思わぬ攻撃も受けてしまうことがあります。それに今回のパリオリンピックで多発した「不可解な判定」も受け入れるしかない以上、差別による精神攻撃は絶対に無視できない要因であるとも思います。
選手個人でできる現実的な対策
以上の要因例のうち、思い当たるものはありましたか?その要因さえ対策できれば、きっと好成績を収められるはずです。
ここからは、個人でできる対策を挙げてみます。
1.長時間移動による疲労蓄積への対策
飛行機移動は3時間程度に留めます。つまり、「遠い場所で開催される国際大会には出場しない」です。
2.時差ぼけへの対策
日本を基準とした場合、「±3時間程度に収まる地域の国際大会だけ出場する」です。
西側は「ミャンマー、中国全土」まで、東側は「マーシャル諸島、ニュージーランド」までです。いっそのこと「オーストラリアで開催される国際試合のみ出場する」としてもいいかもしれません。
3.気候条件(暑い寒いなど)
「夏の中東、冬のロシア・カナダ」を避ければ、日本より過酷な気候条件に当たることはないでしょう。
4.水や食事が合わない
「すべて熱湯に当ててから食べる」ことで硬水の問題は解消できます。硬水の成分は充分に沸騰させれば消えるので、生野菜のサラダは避け、充分すぎるほど加熱した料理から栄養を摂るようにしましょう。
5.精神的なダメージ(人種差別や不可解な判定など)
正直言って、この問題はクリアしようがありません。日本の国力と信用度が落ち続けていることからも、選手個人の対策ではどうしようもないです。「精神攻撃はどこでも発生し得るもの」として受け入れるしかありません。
各組織の協力が不可欠な、踏み込んだ対策
前述の個人でできる対策では限界がすぐ来てしまいます。個人の遠征程度なら対策できても、大規模な大会に出場する際には現実的ではありません。
ここからは各スポーツ組織の協力が不可欠な「踏み込んだ対策」です。
ベストアンサー:ヨーロッパ圏内とアメリカ国内に、大人数の日本選手が長期滞在できる拠点施設を作る
前述の原因①~④をまとめて解決できる対策がこれです。
主要な国際大会のほとんどはヨーロッパ圏内もしくはアメリカ国内で開催されるので、この圏内に長期滞在できる拠点さえあれば、肉体的要因はすべて解決できます。
ヨーロッパ圏内であれば、概ねどの国にいても「3時間程度のフライト」で移動ができますし、「時差も±1~2時間」で済みます。アメリカ国内も然りです。
気候条件も「ヨーロッパ圏内」と「アメリカ国内」であればほとんど似たようなものなので、「日本からの移動」と比較すれば特別な対策は不要です。
滞在中の食事は拠点施設だけで賄うようにすれば、食事や水による問題も起こりにくくなります。水の扱いだけには細心の注意を払ってください。
試合本番の2週間~1か月前からこの拠点施設に滞在し始めれば、ほとんどの自然要因には対応できるようになるでしょう。1~2日前に到着して弾丸日程で臨むよりは、はるかにいい結果になります。
それにこの拠点施設で事前に生活することで、このエリアの文化にも多少は適応できます。アジア人差別にも多少は免疫ができることが見込めます。
資金不足で設備投資ができないのなら、代替候補地に拠点施設を作る
資金不足のため実施不可能という状況は見たくありませんが、現実的に見ると各スポーツ組織にそこまでの余裕はないでしょう。ならば一等地ではなく、代替地に作るしかないでしょう。
ヨーロッパ拠点の代替地は「モロッコ」か「チュニジア」
ヨーロッパ圏内の物価が高くて無理だというのであれば、「モロッコ」や「チュニジア」が代替候補地になります。この2国はヨーロッパの目と鼻の先にあり、物価水準で言えばヨーロッパ圏内とは比較にならないほど安いです。
「モロッコ」はもはや日本と変わらない物価水準にもなってきてますので、費用面をとにかく安く抑えたいのであれば「チュニジア」一択しかないでしょう。チュニジアの真夏は40℃を超えるような気温になってしまいますが、その時期さえ避ければ利用価値はあるでしょう。
アメリカ拠点の代替地は「メキシコ」か「コロンビア」
「メキシコ」も「コロンビア」もアメリカより物価が安い国なので、国力が落ちた日本でも充分代替地として検討可能な国です。「コロンビア」だと飛行機移動でアメリカまで5~6時間かかってしまうので、「メキシコ」が最も現実的な候補地になります。
ただ両地域とも水には気を付けなければならないので、きれいな水の供給ラインだけは確保しておかなければなりません。
資金をケチった分は治安にのしかかってくる
資金不足の代替地に拠点を作ることになった場合、治安の悪さは覚悟しなければなりません。ケチった費用は、安全確保のための警備費に消費されると考えてください。
最初からヨーロッパ圏内かアメリカ国内を検討した方が、結果的に安上りになると思います。
各組織の垣根を超えた協力が必須
このような大規模な施設を作るには、各スポーツ組織だけの力では不可能でしょう。だからもう、日本の各スポーツ組織が一丸となって作るしかありません。日本のどの種目の選手でも利用できる「常設オリンピック村」をイメージした感じです。
どの競技でもヨーロッパ圏内やアメリカ国内での国際大会はあると思うので、あって損はない施設だと思います。国際大会がない時期には、海外合宿所として利用すればいいのです。
まとめ
選手の敗退要因を突き止めるためには、データの蓄積が必須です。この結果得られた要因の中に「長時間移動による疲労蓄積」と「時差ぼけ」が多数を占めた場合には、選手にかかる負担を極限まで減らすことが絶対条件です。この問題に対処するには、絶対に主要な開催国付近の拠点施設が必要です。
今回のパリオリンピック陸上で好成績を収めた北口榛花選手と三浦龍司選手は、オリンピック開催前からヨーロッパを拠点に活動してきました。彼らは元々の実力の高さに加え、前述の①②の問題を解消しています。1つでも悪因がなくなれば、本来の実力を発揮できる確率は上がるのですから。
競技時刻1~2日前に現地に到着して、実力を100%発揮しろなんていうのが無茶なのです。日本選手の未来を考える意味でも、しっかり敗因を検証し、実力を100%発揮できる環境作りを組織で主導して行って行く必要があるのです。
もしそんな環境作りが不可能であれば、「記録ではなく、過酷な環境でも実力を発揮できるような人選」をするしかなくなりますが…。その人選をするためにも敗退データの収集は絶対に必要なのです。未来の勝利に繋がれば、過去の敗北は無意味なことではなくなります。
ただ「負けてしまった…」で終わりにしているのであれば、今すぐデータ検証にとりかかってください。民間企業で、「失敗の原因も追及せずそのままにしている」なんてことは絶対にあり得ないのですから…。
「日本選手には世界で活躍してほしい」と心から願っているのであれば、各スポーツ組織が垣根を超えて「主要地域に選手が長期滞在できる拠点施設を作る」ことを本気で検討してください。選手が個人でできる対策には限界がありますので…。
それではまた!
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