その国の家庭料理を体験したいのならば、ホームステイが最適!
前回は管理人が作る料理初心者用の簡単スープレシピを紹介させていただきました。
切る&煮るだけ!失敗しない栄養満点&ローカロリーの簡単スープ - 日本人いない場所 (nihonjin-inai-basyo.com)
今回も前回に引き続きグルメ編です。ですが、今回はプロ(ホストマザー)が作る料理ですのでご安心ください。
管理人がチュニジア滞在の際、今の家に決めるのを後押ししたある理由があります。それはAirbnbのレビューコメントで、「ホストマザーの作るチュニジア料理がおいしい」と書かれていたことでした。
「この家に滞在すれば、チュニジアの伝統料理が食べられるかもしれない」
そんな淡い期待を抱いて宿を決めました。そしてその選択は大正解でした。管理人とホストファミリーが一緒に食事を摂ることはないのですが、それでもホストマザーはときどき同じ食事を提供してくれます。
それでは、ホストマザーがふるまってくれた食事をご紹介しましょう!
伝統的なチュニジア料理
イード・アル・アドハーで食べられる羊料理
「イード・アル・アドハー」とは料理名ではなく、イスラム教の祝日です。日本語では「犠牲祭」と訳されます。所有する羊やラクダ、牛、ヤギなどから生贄を供出し、貧しい人たちに提供するという習わしです。
チュニジアでは羊を生贄とするのが一般的なようで、イード・アル・アドハー当日、管理人の家の上の階に住む遠縁の親戚は羊を買ってきたようです。羊の鳴き声がすぐそばで聞こえましたので。その場で生きた羊を捌くのかと思っていましたが違うようです。ちゃんと肉に卸された状態で料理をします。
イード・アル・アドハー当日の昼食にホストマザーから提供された料理はこちらです。
右下がラム肉の煮込み、左下がサラダ、真ん中上がスープ、右上がシトロネードです。パンもホストマザーが焼いた自家製のパンです。
ラム肉の煮込みはやはりクセがあります。レバーも使われているようです。牛乳を使って臭み抜きをしていたようですが、それでもかなり強烈です。辛さが結構あります。獣の生命力を存分に感じられるメニューです。
サラダは玉ねぎペーストをメインにしたものです。一見するとサラダには見えませんが、辛みはないので箸休め的な位置づけでしょうか。
スープも辛いです。こちらにもラム肉が入っています。「ハリッサ」というチュニジア料理には欠かせない伝統的な辛み調味料がふんだんに入っています。ハリッサなしではチュニジア料理は語れません。というか、ハリッサが入ってなければチュニジア料理とは呼べません。それくらいハリッサは重要な調味料なのです。
シトロネードはシトラスという柑橘類を絞って作ったジュースです。甘さと苦さが同居する、クセはありますがなかなかにおいしいジュースです。チュニジアの喫茶店には、だいたいどこでもシトロネードが置いてあります。このジュースにはハリッサは入っていません。
自家製パンもホカホカでおいしかったです。ハリッサは入っていません。
イード・アル・アドハーではバーベキュー料理もふるまわれます。こちらは同日夜に提供された料理です。
先ほどと違うのは左の皿のメニューです。ラム肉と野菜の串焼き。それと写真では見づらいですが、串焼きの下に手作りソーセージのグリルがあります。管理人は一般的なバーベキューを想像していたので、焼きながら食べるものだと思っていました。ですが違うようです。すべて焼き終わった後に各自提供されるようです。日本だったら絶対に焼きながらわいわい食べますよね?管理人は一人、部屋でもくもくと食べました。
ここチュニジアではそういう文化なのかはわかりませんが、バーベキューの価値観について少々カルチャーショックを受けました。
ちなみに今年(2023年)のイード・アル・アドハーは6月28日でしたが、この祝日は毎年違う日になります。というのもイスラム教のカレンダーは太陰暦を使用しているため、我々が使用している太陽暦よりも1年が数日短いのです。なので、毎年数日早まるようにずれていきます。
イスラム教のカレンダーに関するイベントに参加したいと思っている方は、ちゃんと該当のカレンダーを調べてから旅行日程を組みましょう。ちなみにラマダン(日の出から日の入りまで断食をする)期間も少しずつ早まっていきます。
ラム肉の煮込みとサラダ
右下がラム肉の煮込み、左下がサラダ、上にあるのがクレープ生地です。それと安定のシトロネード。
ラム肉の煮込みは塩味ベースですが、やはりハリッサが少量使われていて辛めです。
サラダにはハリッサは使われておらず、みなさんが想像する普通の生野菜サラダです。
クレープ生地はプレーン味なので、おそらく煮込みやサラダを挟んで食べるものと思われます。ですが管理人は生地をそのまま食べました。生地をご飯やパンと同じものとみなし、おかずを食べつつ生地を齧るといった形で。生地に巻いて食べるのが正解かどうかはわかりませんが、相変わらずおいしい食事でした。
ブリトーとキッシュ
左側の皿の左にあるのがブリトー、右にあるのがキッシュです。ホストマザーに料理名を聞いたわけではないので、正式な料理名はわかりません。管理人が独断で、おそらくこれらに近いものだろうと判断しました。
ブリトーにはハリッサによるピリ辛のひき肉(おそらく牛肉)とチーズが入っていて、ラザニアを食べているような感覚に近いです。
キッシュはまったく辛くなく、ジャガイモと卵が優しい風味を醸し出しています。
チュニジアの伝統料理なのかはわかりませんが、普段の辛い料理とは一味違って、存分に食事を楽しめました。
グリルチキンとフライドポテト
まるでレストランで食べる食事のような、豪華なメニューです。ボリューム満点のグリルチキン、フライドポテト、左端はフライドズッキーニ、下にはハリッサをまぶしたピリ辛のサラダです。
これはチュニジア料理とは関係ないでしょうが、街のレストランで食べているかのような外食感が存分に楽しめるメニューでした。実際、これとほぼ同じメニューを街中で食べている光景をよく見かけます。なかなか家庭で本格的なグリルチキンを作るのは結構難しいですよ?フライドポテトの揚げ加減も絶妙です。
この完成度から、ホストマザーの料理スキルの高さをまざまざと見せつけられました。
自家製チキンナゲット
鶏肉をフードプロセッサーでミンチにし、とろけるチーズを加えて丁寧に揚げた一品です。チーズが入っているチキンナゲットは初体験でした。これはかなりおいしいです。
赤いスープには当然ハリッサがふんだんに使われています。ですが写真からもおわかりのように、米が入っているのです。
以前の投稿でも書きましたが、ここチュニジアで米を入手することは非常に困難なのです。なのでこの米の優しい食感が管理人を落ち着かせてくれました。米は辛いスープの中にときどき存在する清涼剤のようなものです。いいバランス感覚です。
チュニジアンクスクス
以前の投稿でクスクスを取り上げた際にも紹介しましたが、これこそ伝統的な、ザ・チュニジア料理!
専用のクスクス鍋で長時間蒸したクスクスにハリッサベースのソースを染み込ませ、ラム肉の煮込みと数種類の野菜(にんじんやジャガイモ)を乗せた一品。当然味付けは辛いです。
ですが添えられている自家製のストロベリージュースが、火照った口内を優しく癒してくれます。
準備に午前中いっぱい時間をかけたチュニジアンクスクスがおいしくないわけがありません!
サフランライス with チキン
これはホストマザーが管理人にときどき提供してくれるメニューです。
サフランで黄色く着色されたご飯にチキンが入っています。ハリッサは入ってないので辛くなく、ほのかな塩味が体の中に染みわたります。
日本人にとってある種の懐かしさを感じさせてくれる、心も体にも優しいメニューです。
リンゴのタルト
ホストマザーはお菓子もおいしく作れます。
トロッとしたリンゴのフィリングをタルト生地に乗せて焼き上げた一品。外側はサクサクの食感、食べた者を笑顔にさせます。安心してください。ハリッサは入っていません。
お菓子作りでは、材料の分量を正確に計るのが何よりも重要。適当な管理人には絶対手を出せない領域なのです。それをいとも簡単に作るホストマザーの料理スキルには感嘆するばかりです。
自家製ピザ
最後に紹介するのは自家製ピザです。
ハリッサを加えたであろう辛いトマトソースをベースに、ツナ、卵、チーズにオリーブを乗せて焼き上げました。
写真ではわからないのですが、食べ進めるとおもしろい食感がありました。ピザ生地とチーズの間の層に、なにやら白い層があるのです。柔らかい食感、どこかで食べたことのある感覚…。グラタンか!?グラタンのホワイトソースに近い感覚が感じられます。
少なくともピザを食べているときには感じたことのない食感だったので、強く印象に残っています。
馴染みのある料理でも、その料理には通常組み合わせない食材を加えてアレンジするあたり、ホストマザーの料理への探求心がありありと感じられます。
まとめ
ハリッサたっぷりの伝統的なチュニジア料理から、誰もが馴染みのあるメニューまで、さまざまな料理が楽しめるのがホームステイのいいところです。
もちろんホームステイをしている家庭すべてが料理をふるまってくれるわけではありませんが(むしろふるまってくれる方が少数派かもしれません)、その国の家庭料理を体験するひとつの選択肢としてはありです。
単なる観光旅行だけじゃ少し物足りないと思う方はぜひホームステイを視野に入れて、家庭料理を体験してみてはいかがでしょうか?
それではまた!
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